笑える、泣ける、理解する、共感する ――病理医ヤンデルのおおまじめなひとりごと (長文です)

kindle

最近、食べ物の話が書けてないですね。っていうのも、お腹の調子がイマイチぴんと来ない、というか、ま、食べれないもの沢山あるしー。食べれるもの食べてたら、なんか代わり映えしなくて、あんまり面白くないしー。美味しそうなものは大体カロリー高くて、塩分高くて体重増加待ったなしなので、なるべく避けたいしー

な、感じで。スミマセン。ちょっと退院間際の感じに似てるかな。胃の調子がわるいのかなぁ。
でも体が動かないわけでもなく、先日は(来週には外来もあるのに)県南まで文房具を買いに行ってしまいました。いや~、買ったなぁ(笑)
付箋とか、シールとか、マステとか、そういうものがほとんどなんですが、ペンと以前紹介したトラベラーズノート用のペン差しを買ったら、結構いい金額になってしまいました。(このノート↓)

いよいよGWに入りましたね。私は相変わらず家でのんびりやっています。 手帳を買いました すでに山ほど持っている手帳やノート類。...

小さい頃から「これ、というわけではないもの」をバカスカ買って散財、というタイプだったのですが、今も変わらないな、と思いました。

ということでタイトルですが。今回すごく長くなったのですが、ページ分けたら目次が変になったので、一ページで行っちゃいます。ご覚悟よろしくお願いいたします。

ヤンデル先生は初めて買った

お腹痛くて、食べれるものもそんなになくて、という今の私の楽しみは、日に一度のおやつ(六花亭ラストスパート)と読書です。

今年に入ってから、入院中に中山祐次郎先生の「医者の本音」というのをkindleに入れて読んでから、ちょっと医療の方の書く本にはまっています。
とはいえ、本って高いんですよねー。kindleで、場所の問題は割と解決しましたが、やっぱり高い。ので、徐々に買って読み、買って読みを繰り返しています。

で、けいゆう先生の本(「医者が教える正しい病院のかかり方」)を読み、その後どうしようかな~ と思っていたころには新型コロナウィルス禍勃発。
それをきっかけにTwitterで医療関係者のつぶやきを追ったりしているうちに、いろんな方の名前も覚え、今は欲しいものリストにずらりとそういう本が並んでいる始末です。

で、医療本(一般的な意味ではなく、私の読む本の中での)で、3冊目に買ったのがこちらのヤンデル先生の本になります(医療者の書いた本、ということだと、以前少し書いた、上述の中山祐次郎先生の研修医と新人外科医の本2冊/小説があります)

今すぐ、という話ではなく、この先なんとなく、という話ではあるのですが…… だるかったり眠れなかったり GW前は割と体調が安定し...

ヤンデル先生、結構前に名前は知ってた、と思います。というか、一回聞いたら忘れないよ。病んでる病理医……と、最初にお名前を見た時にびっくりしたことだけは覚えてます。

で、今回この前から時々 #SNS医療のかたちTV っていうのに興味を持って、あれこれ追っかけてたのですが、そのメンバーの中にヤンデル先生がいらっしゃいました。

https://sns-medical-expo.com/

あ、この先生面白いな、と思って、何か本を読んでみよう、と思って選んだのが、タイトルのおおまじめなひとりごと、という本でした。

タイトルはおおまじめだけど

おおまじめ、となっていて、いや、たしかに大真面目にはなっているんですが、なんでしょう、その……やわらかでふわっとやさしく、みたいなエッセーを書けというお話だった話からスタートだったと思うのですが、タイトルは最初から決まっていたのでしょうか。

冒頭から、つかみはオッケーとばかりに、結構笑えます。お腹を抱えてゲラゲラ、ではなく「ぷっ」「ふっ」「お、おぅ」みたいな笑い。
その後……私は学会の話で泣いた。ちなみにここまで序章(長い)

読みながら、あー、分かる―とか、「だめじゃん(笑)」とか「くぅー」みたいな感情をゆるく揺さぶられる感じです。ちょっと文章に癖がある(?)のですが、これが味なんだろうなぁと。

あ、ちなみに先に読んだ二つがですね、本当に語り口はソフトだし、時々熱いし、なんか「あー、お医者さんが書いた本だなぁ」と思うのに対して、ヤンデル先生の文体は「病みつきになる」感じ。
次に来る文章、来るぞって分かってても、何度繰り返して読んでも「ふっ」って笑ってしまう。

患者と医療者はWin-Winの関係

今までの本でもそうでしたが、なんかお医者さんって悪く思われがち、なんですか? 私が恵まれてたのかなぁ。「悪い評判の話をネットで聞く」ことはあっても、実際にお会いしたお医者さんで、(多少ぶっきらぼうとか不器用と感じたことはありますが)そんなにひどいお医者さんいない気がする……(あ、いやひょっとして、私が忘れてる? このお医者さんイヤと思ったらすぐ変えちゃうからな……)

話がずれた。患者さんは病気を治したい、お医者さん他医療者の方も、病気を治したい、のだから、病気が治ればWin-Winですよね? だから、私はお医者さんになるべく色んなことを報告するし、相談するようにしているのですが、どうも世の中の患者さんはそうでもない方が多いのでしょうか。

という疑問があったのですが。

ヤンデル先生のこの本は、とある手法(ネタばれしたくないので仮にAとします)でその辺りのこと、めっちゃ上手に説明をしてくださっています。
患者である私よりも、患者の不安を分かってるんじゃないかな、とか。そりゃそうですよね、私は私という患者しか知らないけど、ヤンデル先生は多分もっと多くの(間接的かも知れませんが)患者というものに触れるわけで。

あー、でも他のお医者さん、もっと多くの患者さんに触れてるなら、やっぱコミュニケーションが上手くない(本文に書いてあるんですが)のはなんでだろう?
疑問が増えてきた……

患者は自分が一番かわいい

ちょっと挑発的な話なんですが、ぶっちゃけ、私が線維症になった時に愕然としたのは「で、私はどうなるの」がまったく分からない、ということでした。

そりゃ難病だし、稀病だし、仕方ないですよ? 仕方ない、ですけどー。

退院してすぐの頃に見かけた、テレビドラマの予告CMみたいなのに、男の人が「数字なんていいんです、で、娘はどうなるんですか!」と女医に詰め寄っているシーンがあって(多分がんの話だったと思う)、「わー、こういうことがテレビでも流れる時代になったのかぁ」と思ったりした。多分実際には今までもそういう会話は医療現場では山ほどあったんだと思う。
でも、それが予告CMという、一番クライマックスで、ドラマ本編よりも何度も多く流れるものに登場した、というのは新鮮だな、と思った。

お医者さんは、確率でしか物が言えない。そんなことは分かっているんです。
それを分かっているから、聞けるだけ確率の話を聞いて、確率の話ばっかり載っている(英語が読めないから)日本語の論文は頑張って読んで、それでも自分が何年後に生きるのか死んでるのか(いや、数字的には5年生存率5割くらいだったから/古かったからね/認めたくなかっただけだけど)どんな闘病になるのか、日常生活はどのくらい大丈夫なのか、……

何も、分からなかった。自分が、どうなるのか。

この本は序章にそのことが書いてあって、それを見ただけで「あ、買ってよかったな」と思った。患者は自分の物語を知りたいし、描きたいと思うと思うのです。

治療は駅のようなもの

そして話はAになぞらえた闘病の話になっていきます。医療関係者との連携の話とか。読みながら、BCR(俗に言う無菌病棟ですね)の看護師さんやその他色々な方の顔を思い出して、また泣いていました。

あ、そうかぁ。そういう役割だったんだぁ、とか。そういう風に思ってくれてたとしたらいいな、とか。

そして、ヤンデル先生の次の本も読んでみたいな、と思いました。ってか、全著作読んでないのでどこかで書いてあるかも知れないけど。
お医者さんの範疇ではないのかも知れないけど。

Aが始まる前の話。Aが終わってからの話。

12月についてくださっていた研修医さんと、話したことがあります。「今、この病棟には造血幹細胞移植をこの時期にする方たちが集まっていて、それはまぁ、同じような病気で、同じような治療だから結果的にここに集まってるんだけど、他の病気もそんなものじゃないかなぁ」って。

誰もが人生の中で、自分のレールを歩いて来てて、ある期間、ある病気になる。だからその治療をする。終われば、またそれぞれのレールに戻って、それぞれの生活や人生が始まる。
だから、いまここにいる一瞬(例えばBCRに入院して造血幹細胞移植を受ける)はここにいる患者さんはそういう意味では「同じ」だけど、同じじゃないよね、みたいな話。

偉そうに書いてますが、他人の受け売りですからね(笑)

そして、その「レール」を選ぶのは私であり、「どの」駅に停まるか決めるのも私。その駅でAが始まる。そんな感じ。「おひとりさま良し悪し」で書いたことも、それにつながる話ですけど(↓こちら)

今日はお休み、ひき続きあれこれする中で、こんなネット記事を見つけました。 ちょうど昨日、なんとなく「一人と孤独の違い」とか考...

私は私の人生の中の一部分で骨髄線維症になり、造血幹細胞移植を受け、そして今、Aからゆっくりと下りようとしています。
狭心症という次のAが来てるかも知れませんが、それはそれ。今のところは急いで次のAに上がらないといけないという感じでもないのでしょうから、ゆっくり一病息災で付き合っていくんだろうなと思っています。

本日もお読みいただきましてありがとうございます。

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骨髄線維症と診断されたあなたへ

2020年12月3日、骨髄線維症の治療として、造血幹細胞移植を行いました。1月末に退院し、現在自宅療養中です。

この、あまり知られていない病気(難病指定されています)と、怖いイメージのある造血幹細胞移植について、少しでも同じ病気の方の参考になれば、という思いと、慢性の難病であるがために不安で過ごした、以前の日々、やったこと、それから移植の全体像について、などnoteにてまとめました。骨髄線維症の方はもちろん、慢性疾患の方とか、稀な病気の方などが闘病について考えるきっかけになると思います。
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骨髄線維症と診断されたあなたへ

如月 ローズ
文章も書く、ソムリエ料理研究家
岡山県のスーパーマーケットで販促のお仕事をしています。社内での講師を中心に酒と食の楽しさをお伝えしています。
*家飲みを、もっと美味しく簡単に*
毎日の食をもっと充実させたい、あるいはさせたいと思っているけれど、イマイチ充実しない……そんな思いを抱いていませんか? そんな日々を、ちょっとしたアイディアや情報をご提案することで、ストレスなく、もっと楽しく快適に過ごしていただきたい、そんな思いで運営しています。

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