わたしの源氏物語

わたしの源氏物語
しばらく書いていなかったのは、それなりにバタバタしていたからなのだけれど、これからしばらくは、わたしの持っている源氏物語に関わる本をご紹介していこうかと思っています。この本は、社会人になって、数年のころに買ったような覚えがあります。
とは言っても文庫になったのが93年、で、実はその前に89年に単行本として出版されているものが、その後文庫化された模様。
先日ご紹介した紙風船より、やや後の本ということになるでしょうか。

この本のまず最初に目を惹くところは、表紙が天野義孝さんのイラストなのです。わたしは他のところでも述べたことがあるのですが、この方の絵が大好きで、しかも文章が瀬戸内寂聴と来れば、もう買わない理由はない、という感じです。

で、内容は、と言えば。
これもやっぱり紙風船と近く、源氏物語内のあれやこれやについて筆者の思うところをつれづれに、というところは一緒です。
ただ、やや文章が解説調、というか、くだけてないというか。そういう印象を持っています。
ただ、この手の本は基本的には「源氏物語を知っている」という人を対象にして書かれているわけですが、紙風船が「すごく好きで、読みこなした人」を対象に、深く読み込んでマニアックなところに突っ込みを入れている、という感じがあるのに大して、こちらの本は、さらっとあらすじしか知らない人にも「こんな背景で、こんなことがあったでしょ?」と言った感じで、教えてくれる、という印象です。そこが解説調に読めるのかも知れないですね。

ただ、こちらは一つの章が短く、完結なテーマでまとめられていて、しかもかなりの内容を網羅しているので、そういう意味では読みやすくもあります。
今数を数えたら104の章がありました。どこからでも読める。気の向いたときに、気の向いたところを読める。これもいいところです。

そして更に。この本の解説は林真理子さんがしておられます。
この解説が、またわたし的にはドンぴしゃり。表紙の天野さん、解説の林さん、という一見瀬戸内寂聴+源氏物語に結びつかないようなこのお二人も絶妙のバランスだよなぁと、読むたびに思うのです。

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