私にとっての源氏物語 3

さて、どこまで書いたっけ……

そうそう、源氏物語は全体を通してのお話として成り立ってはいるものの、好きなところだけ読む、という読み方もできるという話で。
その後無事に大学に入学した私が、ある日手にしたのが「田辺聖子 文 岡田嘉夫 絵」の「絵草子 源氏物語」でした。
この本は……妖艶です。
なんというか、源氏物語のエロス、ここにあり、という感じ。
しかも文章は短く簡潔、なおかつ雰囲気を壊していない。
こんな世界もあるのか!と目から鱗。こうして「源氏」をテーマにした本を見れば買わずにいられないという体質が私の中に育っていた……。
この他にも田辺聖子のちょっと変り種の源氏とか、あるいは瀬戸内寂聴の色々な源氏物語論を読んで、人によってさまざまな解釈ができる源氏物語の奥の深さに知れば知るほど……のめり込んでいった。

で、この頃、ふと思い立ち、谷崎源氏を漁っていた私。
「ない、あのシーンがない!」

なんのことかというと。
「あさきゆめみし」の中に「朝顔の姫君の母親」の「陵王の舞」というエピソードがあって。
そのシーンは原作にもあるものだと思い込んでいた私。
探しても探してもない、そのシーンは実は「あさきゆめみし」の創作だった!
(そりゃ、ないわな)

こうして源氏物語をバラバラに、それぞれのエピソードにはエピソードなりにのめりこんだり空想したり……そんな私の楽しみは一つ増えていたのだった。