新年ネタも、そろそろ終わりに近づいてきました。
ということでご紹介するのは、私は「山陰の味」と思ってた「花びら餅」です。
冒頭の写真が花びら餅で、松江では正月の和菓子として定番。現在津山に住んでいるのですが、こちらではほとんど知っている人がおらず、あー、あれって松江のお菓子だったんだーと思っていたら、今回ネット検索したところ、かなりあちこちの和菓子屋さんで作られている模様。
Contents
お茶の和菓子です
裏千家の初釜で使われるため、明治以降に広まった、という説が有力なようです。
松江は裏千家もしくは不昧流が主流なので、裏千家から町全体に広がったっていう感じかな。基本的にはお茶の和菓子=お茶の習慣がある場所に残ってる、伝わってるということだろうなぁと思います。
お茶の和菓子、というと甘みが強いものが多い印象があるかも知れませんが、この花びら餅は甘みもそんなに強くなく、普通の緑茶でも十分美味しいと思います。
由来は
宮中行事で、新年の歯がための儀 というもので使われたそうです。何かの時に、「宮中で」というのを私も聞いて「あー、元は宮中かぁ。松江に残ってたんだなぁ。これがきっかけで花びら餅が全国区に?」と思っていたのですが、もともと全国区だったんですね(笑)
松江は古いものが突然残っていたりする土地柄なので、てっきりその類なんだと思っていたんです。
どんなもの?
私がいただく松江タイプのものは餅の部分は求肥ですが、全国的にはお餅もある模様。
柔らかい求肥の中に、白餡をベースにした味噌あん、それから蜜炊きのごぼうが1本入っています。
今回買ったのは米子の店舗。2年前に買おうと思っていたらあっという間に売り切れたので、今回は取り置きをお願いしてました。
(昨年は鳥取地区の店舗に応援勤務したので、置いていなかった)
でも米子の店舗の担当者およびレジの方などはあまり花びら餅を食べる、ということがないらしく「米子ではあまり食べないと思うんですよね。美味しいんですか?」とか、めちゃくちゃ聞かれましたね。
とはいえ「売れてるんだから、米子の人も食べてるんじゃん」というと笑ってましたが。
実際、私が取り置きのお願いをしたことで「食べる人、ひょっとして結構多い?」と思ったらしく、担当者がめちゃくちゃ発注してまして、なんとなく責任を感じてちょっとドキドキしました(無事完売しました/*後日調べたところ、期間合計で前年の5倍近くを売ってました。びっくり)
味は……すこし書いたように、そんなに甘みが強くなく、味噌あんと言ってもそんなに濃くなく、全体的には上品な味です。
ごぼうに抵抗を感じる方が多いようなのですが、そしてたしかに、一番花びら餅の中でインパクトがあるのはごぼうなのですが、そんなに気にならないです。
気にならないというか、ごぼうがあるおかげで、少し歯ごたえがあって、アクセントになるというか。あと、ごぼう独特の少し土っぽい、野趣あふれる香りはそれなりにあるので、それも「ただ甘いだけのお餅」でもなくなるというか。
絶品、というわけではないのですが、さすがに長生きしているお菓子だけあって、うまく考えられているなー、と感じる和菓子です。
おまけのもちのりの話
もちのり、って何か分かりますか? 松江の方では、正月のお雑煮に、もちと海苔をいれて食べるのですが、その時に使う海苔。
高級な、十六島海苔というものがあり、それを入れるのが多分「本来」なのでしょうが、大変希少だし、その分高価。ということで、もちのりがある……という認識なのですが、その辺りはイマイチよくわかりません。
ただ、松江のお雑煮って、こんな感じ。醤油の味付けで、海苔が入る。
米子地区でも多少、このお雑煮があるようですね。もちのりは今回松江に行ったときに買って帰りましたが、米子のお店でも売っています。
鳥取は小豆雑煮と言って、いわゆる「ぜんざい」を食べるので、米子ではこの「小豆雑煮派」の方も結構いるようです。
お雑煮は、未だに本当にエリアによって違っていて、食に携わる者として、一番ワクワクするというか、エキサイティングなテーマです。
多分この記事を読んで、自分の知っている雑煮とあまりに違い過ぎて「????」ってなってる方もいるんだろうな。
他地域のお雑煮にも興味がありつつ、結局よくなじんでいるお雑煮を食べてしまうんだろうなと思う、お雑煮事情です。
本日もお読みいただきましてありがとうございます。
文章も書く、ソムリエ料理研究家
岡山県のスーパーマーケットで販促のお仕事をしています。社内での講師を中心に酒と食の楽しさをお伝えしています。
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