ぶすと老醜 源典侍という女

先だって(といっても一月のことですが)、このブログの本編にあたる「源氏花ごよみ」にて「源典侍」をアップいたしました。
……極めて閲覧者の少ないお話になっています(笑) 源典侍の人気がないのか、そろそろわたしの中で、こういったパターンの限界が来ているのか。多分両方ですね。
そもそも源氏物語の「女キャラ人気投票」などで、源典侍がエントリーされているのなんか、見たこともないですし。
あくまでも彼女は「正統派源氏好き」の中ではイロモノであったり、笑って流すキャラであったりするのかな、とそんなことを思います。

が。でも。ややひねくれ気味の私は、実は彼女も結構好きだったり。
同じ3ブスでも、末摘花も花散里もそれなりに女性には人気があるのに、何この扱い、と思うこともなきにしもあらずです。
もっとも、その気持ちは分かる。
だって彼女は「年寄りでブスなのに『ずうずうしい』」という嫌われる年配女性の典型を「これでもか」というほどに満たしているんですから。
もし同僚にこんな女性がいて、光的存在の男性に言い寄っていたら、そりゃまちがいなく恨まれるし総すかんを食らっちゃいます。いや、私だったらまちがいなくそうする!(笑)

しかしですね、若い頃は(学生時代くらいまで?)そう思っていたのですが。
「今もし本当に」こういう女性が身近にいたら。……応援してしまうかもしれない。
どんな女性にだって「現役引退」というのはイヤな言葉なんじゃないでしょうか。彼女はそれをあの時代にかたくなに拒んだ、珍しい女性なのかもしれません。
それを、私は彼女の中に見てしまうのです。
というのも、彼女は桐壺帝の「典侍」なんです、現役の。典侍は「内侍の司」という、帝の身の回りのお世話をする部門の次官です。といっても、当時すでに「尚侍」はお后扱いだったようですから、次官といっても実質トップ。
一般企業に例えれば、秘書室次長(実質は室長が社長の奥さんで、実務面はトップ、という感じでしょうか――乱暴な例えですみません)
しかも彼女は「源姓」……ということは、皇族の血を引いているんです。
身分も高く、キャリアウーマンの最高峰(?)にいる彼女。
ましてや「趣味人の桐壺帝」のおそば仕えですので、彼女はそんなに醜い存在だったはずはない、というのがわたしの考えなのですね。そんな人が……ちょっと歳はとってても。自分の恋に夢中になってしまう姿。見たら、応援しちゃうんじゃないのかなぁ。
で、ふと思うんですよ。典侍の容貌について書かれている箇所って「ぶす」というよりもむしろ「老醜」ではないのかな、と。
皺におしろいが入り込んでいる、なんて、なまじリアルで気持ち悪いですけれど。
(えぇ、鏡を見てドキッとしたりしますよ……)
が、その反面、琵琶を弾き語っている箇所の描写は、結構ほれぼれとするいい女っぷりがにじみ出てるような気がするんですが、どうでしょう。(彼女の場合はそのあとがいけないらしい)
ということは、まだもう少し若かった頃は、かなり「イケてる女」だったんじゃないのかな~。そんなまんまで歳とって、少しくらい勘違いしてるってこともあるよな~とか。
それにまた、桐壺帝がまだ当時、「髪を結う」という仕事を彼女にさせている記述も出てきますので、少なくとも彼にとって典侍は「生理的にイヤな女」ではなかったことも窺えるような気がします。(もし桐壺帝が「こんなばーさん、やだな~。若い女の子にしてほし~な~」と思えば即日叶ってたと思うのです)
むしろ、ごく普通にそういうことを任せたり、「珍しい組み合わせだな」と声を掛けることが出来るくらいには「馴れ親しんだ」間柄だったと言えるのではないでしょうか。

さらに。ここまで想像して、ふと、とんでもないことを考えたり。
桐壺帝の添い伏しって誰だったんだろう。いわゆる初夜の相手ですね。弘徽殿は多分経験なしで入内してるだろうけれど(当たり前だ)、桐壺帝も彼女が初めてだったとしたら、ちょっと大変だったんじゃないか、と思う。だって当時彼は弘徽殿よりも年下だったはずだし、ってことは、何歳よ?
やっぱ事前に誰かが手取り足取り教えてるんじゃないのかなぁ。
……え?

源氏物語よりも時代をくだったずいぶん先に、「とはずがたり」というお話があります。作者の母は「大納言典侍」で、当時の帝の添い伏しだったという話が載っています。
……まさか、ねぇ……

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