ゲヴュルツトラミネールは源典侍だと思う ~8月ワインで源氏物語

8月のワインの日

8月、お盆も終わってようやく一息、休めていなかった分連休になっていたので、ゆっくりしています。どこにも行かない(笑) ということで、8月のワインの日にしちゃいました。できればもう一日、設定したいんだけどな~ と思いつつ。

源典侍

源氏物語に親しんだことのある方なら、きっと覚えのある登場人物です。なんせ、主役でも主役級でもない、たくさん出てくるわけでもなければ、超絶美女だったりするわけでもない、のに。強烈な脇役。そう、おばば様です。
最初に出てくる時が50OVER。それでいて、光源氏と頭の中将と、両方を手玉に取ろうとしたおばば様。
その高齢でありながら(高齢であるから?)、桐壷帝にはどうやら信用されているようですし、「源」とついていることからもわかるように、元皇族の出ですね。典侍は女官の実務トップみたいなものですから、いわゆるキャリアウーマンでもあります。

また、琵琶の名手であったというエピソードも出てきますので、「年齢が高い」「色好み」であることが難ありですが、それ以外はなかなかいい女である、という表現も、いろいろな方がされています。

ワインで源氏物語

ワインと源氏物語の登場人物を組み合わせてみよう! と思って、今回で二つ目。とは言っても、すでに頭の中にはあれこれ、組み合わせは出来上がっています。
で、……当初は今月は、明石の上のつもりでした。彼女は絶対リースリング(冒頭で出来ればもう一日、というのは、明石の上をやりたい! という意味を含んでいます)だなぁと思っていたのですが、リースリングと言えば、アルザスかドイツだしな~~ と悩んでいました。

アルザスのリースリング好きなんですが、やっぱリースリングと言えば、ドイツ、ドイツと言えばリースリング。うーん、じゃあアルザス紹介できないじゃん、と思いつつ、お酒を探しに行ったんです。

「ちょいと、あんた。私をお忘れではないかえ?」
ゲヴュルツトラミネールが目に入った瞬間、そう言われた気がしました。
「あ、いや、忘れて……ないです。はい、そうですね、アルザスと言えばゲヴュルツですよね。いや、香りもいいし、おばば様にお似合いですよ」

完全に私の妄想ですが、そんな会話を繰り広げ。アルザスのゲヴュルツトラミネールが我が家にやってきました。でもって、飲め飲めうるさいの!(注 妄想です)
ということで、リースリングを差し置いて、今回はゲヴュルツトラミネールをいただくことにいたしました。

アルザスワインの特徴

アルザスはフランス北部のワイン産地です。ドイツとの国境を接していて、「最後の授業」という小説でも有名なように、何度もドイツ領になっています。ということで、フランスでありながら、ドイツのワインに近い部分が多くあります。先に挙げたリースリングも、ドイツとアルザスが有名なワイン用ブドウ品種ですね。
そして、フランスでは珍しく、ぶどう品種が記載されるワインとなります。そういう所もワイン初心者には分かりやすいフランスワインです。その中で、ゲヴュルツトラミネールはアルザス4品種と呼ばれる指定された品種の中の一つ。ライチとかバラの香りが特徴、とされています。

このライチ、バラと称される香りは確かに独特で、めちゃくちゃ華やかで、正直なところ、飲んだら一発で分かる。品のない言い方をすると「ケバい」ワインです。分かりやすいワインなのでティスティングの訓練などにもよく使われるんじゃないかな。ただ、アルザスという地方の特徴としてはややすっきりした感じに仕立てることが多く、香りは華やか、ケバいくらいなのに、味わいはすっきり、不思議なワインになります。

この二面性、源典侍だなぁと思った所なんですよね、多分。とても女性的な香り、口にする直前までは、くらくらするくらい甘いようなフローラルな香りなんですが、味わいはするっとしている。香りがすごいので、少し甘味も感じる気がするくらいしっかりしたワインなんですが、あくまでも料理を引き立ててくれる味わい。
この、仕事はちゃんとしますから! みたいなところが、このワインを好きな一番の理由かも知れません。また、今まで飲んだことのあるゲヴュルツトラミネールの中ではアルザスのものが個人的には好みなんですが、ニューワールドでも時々見かけることがあり、それぞれの国や地域で、同じぶどう品種ながら、とても個性的なワインになります。これも評価がさまざまに分かれる源典侍と近いかな、と思いますね。
もしも彼女が現代に生きていたら「めんどくさー」と思いつつ「友達になりたい」と思うタイプのような気がします。

合わせた料理

昼にしっかりラーメンを食べたこと、おやつもしっかり食べてしまったので、夕食は軽めに済ませました。

ワンプレートに

メインはジャーマンポテト。以前にご紹介したローズマリーポテトと作り方はほぼ一緒。ソーセージをベーコンに変えただけです。あ、あとローズマリーなかったのでなしで、でも何もないのは寂しいなと思い、在庫であったディルを、仕上げ間近に加えてさっと火を通して出来上がり。

野菜はベビーリーフとルビーグレープフルーツ。ゲヴュルツトラミネールには、少し苦みのある食材が合う気がします。ベビーリーフと皮をむいたグレープフルーツを混ぜたら、オリーブオイルとハーブソルトを掛けるだけ。
もう一品は、やっぱりドイツっぽくということで、温めるだけのソーセージを。

一番合ったのはサラダでしたね。そういう所は目論見通りに行って、なかなか満足できた一皿になりました。

もしゲヴュルツトラミネール、興味がわいた方がいらっしゃいましたら、まずはアルザスから。ぜひお試しください。

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如月 ローズ
文章も書く、ソムリエ料理研究家
岡山県のスーパーマーケットで販促のお仕事をしています。社内での講師を中心に酒と食の楽しさをお伝えしています。
*お酒と料理で豊かな食を
毎日の食をもっと充実させたい、あるいはさせたいと思っているけれど、イマイチ充実しない……そんな思いを抱いていませんか? そんな毎日を、ちょっとしたアイディアや情報をご提案することで、ストレスなく幸せな食生活、――ひいては幸せな毎日を過ごしていただきたい、そんな思いで運営しています。

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