キャラとテーマの繰り返し

さて引き続き、「源氏物語」に関しての、おおまかな私の思うところをつれづれに。

よく言われることですが、源氏物語の中では、同じテーマが繰り返して現れます。一番ぱっと思い浮かぶのが、義母の藤壺と密通した源氏が、女三宮を柏木に寝取られて、父の桐壺帝と同じ立場に立たされる、ということでしょうか。
この辺り、「因果応報」の文脈でも語られることが多いような気がします。

けれど、実はそれだけでもなくて、テーマが重なってる部分というのは、実は結構あったりするかなぁ、と。
個人的に好きな(そういう意味でかよ、と突っ込まれるのは覚悟の上で)テーマは朧月夜と浮舟ですね。
「板ばさみの女」ってヤツです。しかもどっちもタイプは違えどイイオトコ。

あるいは女三宮と空蝉の「人妻」
明石の君と玉鬘の「田舎育ち」
源氏物語の中でそういう「あれ、どこかで見たような……」というお話はかなり多いと思います。
逆に「ネタに詰まったら源氏を読もう」と言ってもいいくらいに、色々なお話も詰まっています。
今、上に上げた例は、テーマとかシチュエーションは一緒でもお話としては全然違うお話です。それは源氏の中で本当にいくらでもあることなのです。
で、この違いは何によるかというと、やっぱりキャラの個性というか、書き分けというか、……その微妙な差が、それぞれの振る舞いにも出ますし、それが結果を分ける。
これが同じテーマを扱っていても、読むものを飽きさせない、あるいはよりその「テーマ」を深く考えさせられる、ということになっているのかな、とそんな風に思います。

個々の登場人物については、また別途、一人一回くらいは割いて、書いていこうと思っているのですが、その時に「こういうところはこの人と似てる(似てない)」なんてことも挙げていけたらなぁと思っています。
そうすることで、よりその登場人物が見えてくるような気がするのです。

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