お魚屋さんのお寿司ってなんだろう?

寿司

最近スーパーマーケットで増えてきている「お魚屋さんのお寿司」 これって何だろう? と思ったことはありませんか? どうして普通のお寿司とは別にお魚屋さんのお寿司コーナーがあるのでしょう? それは何が違うのでしょう? そんな疑問にお答えします。

お魚屋さんって何?

スーパーマーケットの食品フロアは、部門に分かれています。普通の(何も冠のない)お寿司を作っているのは、お弁当を作っている「惣菜」部門です。ここではお弁当や、そのほか揚げ物など、惣菜類一般を作っています。会社によって部門名は違うこともありますが、そこで1部門になっているのは、ほぼ同じ。あと、場合によっては、その中が分かれていて、スーパーの中で作っている部門や、ベーカリーコーナーが併設されている部門が一つの惣菜部門、それとは別に「惣菜工場」を持っている場合にそこで「惣菜仕入れ部門」のような形で分かれていることもあります。
一方で、惣菜とはまったく違う「水産部門」もあります(ここも名前は各社によりさまざまです)丸魚、切り身、刺身、などの魚を中心とした水産物を扱っている部門です。
そして、「お魚屋さん」というのはこの「水産部門」を指しているのです。

普通のお寿司との違いは何?

お魚屋さんのお寿司、ということは「水産部門のお寿司」という意味ですから、まず担当者、責任者が違います。担当者、責任者が違うということはどういうことかというと、持っている技術や知識が違う、ということです。
惣菜部門と水産部門では、まったく違う商品を扱っているため、当然それまでに身に着けてきた知識や技術が違います。お魚屋さんのお寿司は「魚を扱う技術に長けている」ということが言えると思います。
また、担当が違い、責任者が違う、ということは、「お魚屋さんのお寿司」コーナーの売り上げ、利益は「水産部門」に上がります。ということは、水産部門の担当者、お魚屋さんのお寿司の担当者は「トータルで売り上げ、利益を上げていく」ということを考えないといけない、ということになります。
このことは一見お客様には関係ない話のように思いますが、実はこの流れになっているため、魚屋さんのお寿司は「水産部門の鮮魚と連動している」ことが多いのが特徴です。
水産部門の担当者は、朝、市場でその日に売る魚の買い付けを行っています。今日は何がお買い得で売れるかな、何がこの時期いいかな、美味しそうなものがあるかな、と実際に買い付けに行くのですが、その時に「お魚屋さんのお寿司」コーナーにおいても「寿司にすること」を前提にして、魚を一緒に選んできて、その日の「お魚屋さんのお寿司」の品ぞろえが決まるのです。

一方惣菜コーナーのお寿司は、おおむね事前にその日の商品展開計画、というものが決まっており、安定して商品を提供できます。魚屋さんのお寿司が「その日の」品揃えになりがちなのに対して、惣菜コーナーは「安定した」品揃えをしていると言えるでしょう。

やっぱり美味しいの?

盛り合わせ専門性を謳っているからには、やっぱり美味しくあってほしいですよね。でも実の所、店による、としか言えないのが実情なんです。上で書いたように、部門が違うので、学んできている知識や技術が違うんです。
基本的に「お魚屋さんのお寿司」コーナーを作るときには、専門の教育を受けに行ったり、研修を受けに行ったりします。でもやっぱり、店によってばらつきがあるのが実情です。また、水産部門の一部門という扱いになるので、そもそも「水産部門=お魚屋さん」の技術(加工や目利きなど)が低い場合には、お魚屋さんのお寿司のレベルも低いと言わざるを得ません。
ということで、当たり前のように聞こえるかも知れませんが「水産売り場の品ぞろえ、鮮度」がイマイチの「お魚屋さんのお寿司」が美味しい、ということはまれであり、水産売り場を見れば、そのお店の「お魚屋さんのお寿司」のレベルもほぼ分かる、と言えると思います。

商品は何が違うの?

売りは「お魚屋さん」なので、やはり圧倒的に鮮魚ネタが増えてきます。
にぎり寿司はもちろん、ちらしずしなども、惣菜コーナーのちらし寿司はれんこんや錦糸卵、山菜などが入っているものが多いのに対して、いわゆる「上ちらし」「海鮮ちらし」と言ったものが多くなりますし、巻きずしの比率は下がり、鉄火巻きやネギトロ巻きなどの魚を巻いたものになってきます。

そんな中、お買い得だな、と思うのはお刺身の切り落としを利用した海鮮丼などで、品質の割に手ごろな価格で売られていることが多いかなと思います。お刺身の切り落とし、すなわち「水産コーナーのお刺身を作ったときにどうしても出てしまう端材」を海鮮丼に使っているんです。基本的にお刺身を作った時点で「必要な利益」は取るように作ってあるはずなので「端材であるがゆえのちょっと見た目がよくない」「少し筋が多めだったりする」ということを差し引いても、お買い得な新鮮な海鮮丼(やちらし寿司)になっていることが多いですね。
これは「お魚屋さんのお寿司」ならではの商品だなぁと思います。

一方、いなりずしや、太巻きずし(田舎巻きなどの名前で売られていることも多いですね)はやはり惣菜コーナーの主力商品。各社、独自の味付けやバランスに工夫をこらしていて、美味しいものが多いと思います。買いたいものに合わせて使い分けをするのが美味しいお寿司をいただくコツと言えると思います。

まとめ

ということで、ご紹介してきた「お魚屋さんのお寿司」の違い、お分かりいただけましたでしょうか?

担当部門が違う
仕入れる形態や加工技術が違う
得意な商品が違う

大きく分けると、こんな所ですね。美味しい「お魚屋さん」を見つけて、ぜひそのお店の「お魚屋さんのお寿司」も楽しんでいただきたいと思います。

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