弟の(陣中)見舞い

泡雪花

弟が、造血幹細胞の提供のために8日より入院していましたので、お見舞いというか、顔を見に行ってきました。

末梢血幹細胞移植

造血幹細胞の取る方法によって、骨髄、末梢血、臍帯血、と造血幹細胞移植にも種類があるのですが、今回弟は、末梢血を選びました。

これは、本来は血液中には(ほとんど?)ない造血幹細胞を、薬を投与して、末梢血(いわゆる、普通に流れている血のことです)に出てくるようにして、その造血幹細胞を、成分献血と同じ方法で採取する、というものです。

骨髄バンクのドナーさんからいただく場合、骨髄からのみのようなのですが、家族のドナーの場合は、どちらかを選ぶことが出来、弟は末梢血の方を選択したようです。

私としても、その方がよいのではないかと思っていたので、少しほっとしたとともに、末梢血の場合、入院が少し長くなるので、お見舞いにはぜひ行かないとなぁと思っていたのです。

末梢血がいいんじゃないかな、と思っていたわけ

バンクのドナーさんだったら、骨髄のみ、というのが、どういう理由からそうなっているのかは分からないのですが、おそらくは入院期間が短いことや、上記で書いた薬がまだ未知の部分があることなのではないかな、と勝手に推測しています。

じゃあなんで弟は末梢血の方がいいんじゃないかな、と思っていたかと言うと。

一つは、骨髄穿刺および生検で、私はどうやらかなり先生を手こずらせているっぽい感じがあること、および弟とHLAが一致したのみならず、どうも遺伝子的に近いんじゃないかなと思う部分が多いこと、ということが大きくありました。
ってことは、弟も骨が丈夫、という可能性が高いなぁ、と。
(過去に健康診断で「骨が丈夫過ぎたため」骨を作る機能が亢進している、みたいな妙なコメントを付けられ、呼吸器内科だったかな、の先生に見てもらったこともあります/そのコメントがついていたのが肋骨だったので)

私が生検1本で、丸二十四時間ほとんど動けなくなっていたということは、骨髄から取ったら(針を何回も、何か所もさす)入院自体は短くても、まともな生活に戻れるのに何日もかかりそうです。
ましてや、まだ動ける状態でもないのに「大丈夫ですよね?」とかになって退院することになったら……と思うと、正直、末梢血の方がいいんじゃないかな、と思っていました。

一方で、上記の薬が、まだ使用され始めて20年から30年(ということでした)、長期のどんな副作用があるか、未知数な部分がある、ということだったのですが、まぁ20年から30年はどうやら大丈夫らしい、ということであれば、あるかないかの副作用が出る前に、老化の作用の方が大きいんじゃないかなと思ったり。

午後に向けて出発

病院のお見舞いは午後からなので、お昼を食べてから到着、くらいでいいかなと思い、朝は少しゆっくりめ。

途中天一で昼食を摂ってから、1時前に到着しました。

53号線は何か所か工事渋滞がひどく、ちょっと予定より時間が足りませんでしたが、まぁこんなものかな、というくらいの時間に到着。

で、聞いていた病室に行ってみると……いない。

アクティブな入院

……なんのことやら、ですね。

9日に「無事に入れたと聞いたよ、11日に行くね」という電話を掛けていたのですが、「うん、分かった、そういえば今日は外出許可をもらって、倉敷行ってきたよ! ええ感じじゃった。看護師さんに聞いた店で、カレーとパフェ食べてきた」という話だったんですよ。

「明日(10日)も外出許可取っとるけぇ、どこ行こうかと思うとるんじゃ」

と聞いていましたので、一瞬あれ? と思ったのですが、いやいや、11日は私たちが来るから、大人しくしとくわーと言ってたし、と思い、メッセンジャーを打つと、さっき私が通り過ぎた面会ルームにいる、とのこと。

慌ててそちらへ向かい、無事会うことが出来ました。

10日は岡山城近辺をふらふらしたそうです。後楽園行った? と聞いたら、入場料が要るからやめた、とのこと。薬の副作用で骨が痛むというのは聞いていたのですが、それの作用で腰も痛くなってきたし、(岡山マラソンがあったりして)人もすごく多くなってきたので帰ってきた、とのことでした。

満喫しとるやないかい(笑)

でも、電話したときにも関節はなんとなく痛いし、熱持ってる感じがする、と言っていたのに、それだけアクティブというのは、大したもんだと思ったりしました。
実際、熱も出ていたらしいですし。
(本人曰く、風邪以外で熱が出たことってなくて、のども痛くない、咳も出ないのに発熱していて、びっくりしたらしいです)

最初は「中暑いよ」ということで、エレベーターホールにあるベンチで話していたら、私の病棟の方の先生が通りかかられ、少し話したり。
(弟の方も、少し見ていただいたようです)
「お母さん、連絡あった?」「ない」「どうやってくるんじゃろ?」「わからんのんよ」という会話をしていたら、なんと一人でエレベーターを降りてきてびっくりしたり(てっきり叔父について来てもらうと二人とも思い込んでいたのであまり心配していなかった)

手続きとか複雑な感情とか

で、私の入院の保証の書類とか書いてもらったりしながら、あれこれ世間話をして、3時くらいにはお暇しました。

弟には電話では身元引受人をお願いし、快諾してもらっていたのですが、いざとなるとちょっとためらいを感じているようで、申し訳なく思ったり。

あと、やっぱり弟には感謝が一番なのはもちろんなんですが、根底に「ごめんね」がある。そのごめんね、は何かと言うと「こんな姉でごめん」だし、こんな、は「病気になって、弟に面倒を背負わせる」だし、「だから私は無力で」「ごめん」かなと思ったり。

ただ、そういう気持ちになるっていうこともすでに「ごめんね」になっていて、だって私がドナーの側だったら、ぜったいに快諾するし、それで弟に対して「なんでこんな病気になるんだよ」とか絶対に思わないし、と考えると、「ごめんねと思ってごめんね」という迷宮に入ってしまうんですよね。

そこにはやっぱり小さいころからの「お姉ちゃんだから」「お姉ちゃんなのに」の刷り込みが根強く残っていて、いわゆる「こじらせ長女」なのかなぁとか思ったりします。

ありがとう、でいいはずなのにね。

ということを考えながら、時間を過ごし、帰る間際に「ほんと、今回の件はありがとう、助かった」と泣くのを我慢しながら伝えると

「まぁ、出来ることはしたから。明日も無事にいけそうだし(上記の先生がそう言っていた)、あとはバトンタッチじゃけぇ、頑張って」

と言われました。

藤井屋の泡雪花

タイトルの写真は、母が私と弟に一つずつ、「お土産」と言って買ってきてくれました。すごく人気の商品なのだそうです。

白い所がふわふわのゼリー(ムースの固いような感じ)で、マカロンのような形態で、真ん中にレモン味に生姜でアクセントをつけた硬めの寒天が挟んであります。

材料を見た時には「ゼラチンと寒天?」と思ったのですが、この二種類を使うことで少し食感が違うのがとてもいい感じ。
周りにきらきらしているのは、氷餅という、米とでんぷんから作ったフレーク状のものですが、これも(味はしませんが)見た目と食感にアクセントになっています。

藤井屋さんといえば、もみじ饅頭のイメージしかなかったんですが(我が家のもみじ饅頭は藤井屋さんと決まっていた)こういうのも作っているんだなぁと初めて知りました。

さて、仕事は今週で最後。あと数日頑張って行こうと思います。
本日もお読みいただきましてありがとうございます。

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如月 ローズ
文章も書く、ソムリエ料理研究家
岡山県のスーパーマーケットで販促のお仕事をしています。社内での講師を中心に酒と食の楽しさをお伝えしています。
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