等身大の平安文学 平安女子はみんな必死で恋してた イザベラ・ディオニシオ

平安女子はみんな必死で恋してた

12月に本屋さんで衝動買いし、とても面白かったのでご紹介します。平安女流文学を、作者の当時の時代背景とか、当時の価値観などと合わせ、かろやかな言葉で紹介してある本です。
紹介されているのは、トップバッターの和泉式部、もちろん、清少納言、紫式部の二大巨頭もいます。

平安女子は、みんな必死で恋してた イタリア人がハマった日本の古典【電子書籍】[ イザベラ・ディオニシオ ]

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和泉式部は和泉ちゃん

和泉式部と言えば、和泉式部日記が有名の、平安女流文学を語る時、かならず名前が出るであろう歌人としても有名な女性です。
そのスタンス(スタンス?)は、ずばり恋多き女。

でもその名に恥じない、とても色っぽい歌が残っていますし、私は結構好きなんですよね。

その和泉式部がトップバッターです。いきなりの和泉式部で「うぬ、やるな(何から目線?)」とか思いつつ読み進めていくと、まさかの「和泉ちゃん」呼びです。

ちなみにその後、たとえばヤンデレ寸前の道綱の母は、「みっちゃん」だし、菅原孝標女は更級日記にちなんで「サラちゃん」です。もはや「誰あんた」状態ですが、この「軽妙な呼び名」をつけられるとなんとなく身近に感じられるのが不思議な所。

伯母と姪

そんな感じで進んでいくのですが、読みながら、あれ? そうだっけ? と思ったのが、道綱母ことみっちゃんと、孝標女ことサラちゃんが、伯母と姪という関係という話。

みっちゃんと言えば、蜻蛉日記の作者。その蜻蛉日記は源氏物語に大きな影響を与えたと言われています。

その一方、サラちゃんは、文学少女で、おば(みっちゃんではない)からもらった「源氏物語54巻」を暗い中でも読みふけり、「后の位がどうしたってんだよー」という、元祖オタク少女みたいな人です。すなわち、二人の時間的間に、紫式部の源氏物語が来るんですよね。

伯母と姪って一世代じゃないですか。時間矛盾してない? と引っかかってしまったわけです。

久しぶりに国語総覧とか、引っ張り出して確認したら、やっぱり合ってるみたい。でもって、二人は60くらい違う……みたいなんですよ。マジか。まぁでも、そもそもこの当時のことなので、みっちゃんと、サラちゃんのお母さんが30くらい違ってたら(例えば、みっちゃんは、お父さんが16~18くらいの長子で、その後、若い女性=サラちゃんのお母さんのお母さんと再婚し、サラちゃんのお母さんが生まれたら、まぁ30くらい……)不可能ではないのかな、と。

この、和泉ちゃん、みっちゃん、サラちゃんそして清少納言と紫式部は、ほぼ同時代の人たちです。サラちゃん少し宮仕えもしてたとか、知らない情報もあった。

それ以外にも

この有名どころに加えて(もちろんこの方も有名ですが)小野小町とか。清少納言こと清姐さんとか。知る人ぞ知る二条とか。もちろん紫式部も。

そして伊勢物語の女性や、かぐや姫、そしてラストはまさかのダンテのベアトリーチェです。さすがにダンテはほとんど知らないので、ここらへんは「へーそうなんだ」というくらいの感想しかないのが、残念な所です。

また、二条は「とはずがたり」の作者なのですが、これが意外と最近発見された古典である、ということは知らなかったので、ちょっとびっくりしましたね。
発見されたの、1938年、なんと20世紀になってからなのだそうです。

給湯室の紫式部

紫式部の章は、当時の後宮というオフィスで、紫式部達OLがどんな生活を送っていたのか、のような観点で、いろいろ書かれています。

冒頭、名前の話から入るのですが、平安女流文学者の作者の中で、純粋に「紫」という自身の名前(呼び名ではありますが)をもって呼ばれているのは彼女だけ、というのには、ちょっとハッとさせられました。

たしかに、みっちゃん、サラちゃんはもとより、和泉式部だって、和泉守にゆかりのある式部の丞にゆかりのある女性、という意味だし、清少納言も清原家の少納言、ですから「自分の名前」というよりは「借り物の名前」という気がします(そういえば、取り上げられていないけど、赤染衛門はどうなんだろう? 栄花物語と関係があるようにも思えないけど。ペンネーム?)

という意味でも、紫式部、という人は頭一つは出ていたのだろうな、という感じを受けました。

ともあれ、読み口は軽く、「えー」とか笑いながら、ぐいぐい読み進められる本です。もしご興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

本日もお読みいただきましてありがとうございます。

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如月 ローズ
文章も書く、ソムリエ料理研究家
岡山県のスーパーマーケットで販促のお仕事をしています。社内での講師を中心に酒と食の楽しさをお伝えしています。
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