和モダンな甲州に末摘花を感じる

先日のお休みに、10月のワインの日、ということで樽熟の甲州のワインをいただきました。ここでの甲州は「甲州ぶどう」という意味での甲州です。
末摘花というと、源氏物語の中でもインパクトの強いキャラクター。主に、その「美しくなさ」を話題とされることが多いキャラクターですが、その中でも彼女は心の美しさで源氏にそれなりに大事にされた、ということになっています。
甲州ぶどうのファンの方、育てている方は「不細工といわれている末摘花なんて!」と思ってしまうかな…… でもそう思うのには、それなりに理由があるんです。

甲州ぶどう

日本の固有種で、歴史はとても古いぶどうです。そしてもちろん、日本ではぶどうからワインが作られることは昔はなかったため、生食用、あるいは……あまり想像出来ませんが、加工用などになっていたものと思われます。
古いというのはどのくらい古いかというと、一番古い話で「行基」が発見した、という話があるくらいに(ということで、ほぼ伝説級に)古い、という感じ。

で、日本の伝統種ということで、山梨などを中心として、白ワインにもなってきたわけですが、なんせワイン的には小国の日本。世界的に認められてきたのは、かなり近年になってから、少なくとも西暦2000年以降のことなんです。歴史はすごく古く、伝統的な品種でありながら、ワイン用ブドウ品種としては日陰を歩いてきた甲州ぶどう、今では世界共通の「ワイン用ブドウ品種」として認められ、今ようやく世界に向けて旅立とうとしている、と言った所でしょうか。

味わいは柔らかで、香りも穏やか。たしかにヨーロッパ系の代表品種の例えばシャルドネなんていうブドウ品種と比べると、個性が薄い、と思われるような面があったのかも知れませんが、じつはこの穏やかさ、素直さ(とあえて言ってしまいます)が甲州ぶどうの魅力だと思います。
今、世界的に和食がブームなのですが、それも甲州ブドウが世界に広まるきっかけになっているかな、とも思います。和食の味わいには、甲州ぶどうのなんとなくふわっとした、やわらかい味わいは本当にぴったり。和食に合わせるワインと言えばまず何をおいても甲州ぶどうのワインが出てくるのですが、日本同士、というだけではなく、味わいも本当にバランスが良いと思います。

末摘花という女性

一方、末摘花です。散々な書かれ方をしているのですが、いいですか、今一度、頭の中の末摘花のイメージをリセットして、まっさらからイメージしてみましょう。「細身で、すらっとしていて、色白、髪の毛は黒髪が豊かで美しく、鼻すじが通っている」女性って、そんなに「不美人」でしょうか?
あの、寒い朝に布団を引っぺがして鼻が赤くなったのは、少し忘れてください。あれは源氏の見たタイミングが悪かったのだと思います。センスが悪く、気が利かない? それはそれ、これはこれ、です。末摘花って、実は今の美醜の価値観で行くと、意外に「エキゾチックな、すっきり系美人」だった気がするんですよ。何が違うって、多分あの時代だから「ふっくら柔らかで女性的」が良かったはずで、それは逆に今だと「不美人」かもしれない。
末摘花、今の時代に生まれていれば、意外と早くにグローバルに活躍するタイプになっていたかも知れない……

そんなことを思ってしまうのです。

和モダンというあり方

ということで、伝統葡萄が「ワイン」と出会って、モダンで柔らかで、洗練された美味しいワインになったように、当時の価値観では笑われるような不美人が、今の時代に生まれていたらエキゾチック美人だったかも知れないように、ということで、甲州ブドウのワインと、末摘花のイメージというのは、重なるなぁ、と。

シンプルな料理と

おでん

ということで、何が合うかな、と考えた時に一番に浮かんだのはロールキャベツでした。キャベツのやわらかい味と香りは、甲州に合いそう……って。でもコンソメで煮込むとかではないな、じゃぁ何だろう? と思ったら。
これですよ、おでん。今が一番おいしい かつ食べたくなる時期ですね。市販のおでんですが、汁が多めに入っているので、冷凍のロールキャベツを追加して鍋で温めました。薬味はからしではなく、柚子胡椒。
松江おでんで柚子胡椒がおでんに合う、と知ったのですが、甲州ワインにも少し香りが添えられる感じで、とても美味しくいただけました。

それだけでは物足りなかったので、もう一つはハッセルバックポテト。

ハッセルバックポテト

自家製の作り立てのベーコンと、スライスチーズをはさみ、ハーブソルトで味付け。
これは少なくとも和食ではないですが、シンプルな味付けと材料の組み合わせがやっぱりぴったりでした。

北条ワイン

頂いたのは、鳥取の砂丘地帯で作られている北条ワイン。甲州ぶどうを樽を利かせては、あまり作らないと思うのですが、チャレンジしてみたと聞いたので試しに買ってみた商品でした。
北条ワインさんはもちろん存在は知っていたし、何度か買ったこともあったのですが、この春のワインイベントに参加されていて、その時に色々聞いて以来、結構ファンになってます。

甲州ぶどうのワインの味わいは少し「生木の小枝」みたいな味がすると個人的には思っているのですが、それがいい具合に丸まっている感じの味わいで、色はやや濃い目でしたが、甲州の割にはボリューム感のある、面白いワインでした。

伝統的和食/日本の家庭料理に甲州ブドウのワイン、ぜひお試しください。

秋も日増しに深まっていますね。11月はそろそろ赤ワインをいただこうかと思っています。何にしようかな~~~

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アバター如月 ローズ
文章も書く、ソムリエ料理研究家
岡山県のスーパーマーケットで販促のお仕事をしています。社内での講師を中心に酒と食の楽しさをお伝えしています。
*お酒と料理で豊かな食を
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