寒波に身も心もやられながらも、日々読書とかしています。ちょっと前に読了したのだけど、読み終わった後しばらく興奮状態で、うまく言葉に出来ないまま過ぎていたのが、こちらの國松先生の「医者は患者の何をみているのか」です。
医者は患者の何をみているか プロ診断医の思考 (ちくま新書 1532) [ 國松 淳和 ] 価格:880円 |
Contents
國松先生を知ったきっかけ
多分……。
はっきりと記憶にはないんですが、多分、ヤンデル先生がらみ。
名前は知ってた気がするけど(シャムズ、の先生という記憶がある)SNS医療のカタチのYouTubeに出られたのが、はっきり記憶に残っている最初です。
いやもう、このタイトル画像からして不穏ですし、しかも冒頭、ご自身で「もやっとするかも」とかって始まって、それまでのこのSNS医療のカタチの雰囲気とはずいぶん違ったわけですよ。
で、ご本人出てこられたら、臨床の内科の先生だというけど、髪の毛ぼさぼさで長いし。このタイトル画像は不穏だし(大事なことなので二度言った)
と思ったら、話が面白い。マジか。
クセがある
以前にヤンデル先生の本をご紹介した時にも、そういうことを書きましたが、この「医者は患者の何をみているのか」については、もっとクセが強いです。
ヤンデル先生の本の記事はこちら↓
第2章くらいまでは、ですね、「お医者さんの書く文章」っぽさが結構あります。丁寧で、親切で、分かりやすく、論理的。
うん、……うん、という感じで読み進めていきます。が、あれ? と思い始めるのが第3章くらいからです。
目次は見てはいけない
目次を見てから、本を読む方っていらっしゃいますかね。私は見る時もあるし、見ない時もあるんですが……この本、目次を見ずに、素直に頭っから「ふーん」「なるほどー」「あぁ、なんとなく分かる……かな?」と思いながら読むのがおすすめです。
というのが、目次って、章の内容を端的な言葉で書いてあるものじゃないですか。と、ですね、めちゃくちゃ表現が「難しい」表現になっていて、多分「怖気づいて」しまう。
特に、私が一番笑いながら「わー」と思って読んだ(多分國松先生も、この辺りから本気で「書きたいように書いている」と思う)第4章なんかですね、鳥瞰的視野と顕微鏡的視野、とか肉芽腫性とか酵素欠損とか、……そんな言葉が並んでいるんですよ。
挙句の果てに6章は「4次元」とか……
先に目次を読んでたら、「無理、私には無理」って、思ったと思う。
でも、実際に一つずつ、順に読めば、まぁ……分からないけど、分かる。同じようには考えられないけど、どうやら「私の現実世界とは違う世界がそこにある」ということは分かる。
「お医者さんの診断」において、何が行われているのか、そもそもお医者さんというものが「ブラックボックス」だと思っているような(思ってたんです)私でも、「ブラックボックスなのではなく、私に理解できないけれど、その理解できない『何か』が行われているのだな」ということは理解できたような気がします。
抽象を愛す
で、タイトルです。
國松先生って、抽象が大好きなんだな、というのが、本を読み終えた一番の感想だったので、そのまま、この記事のタイトルにしました。
大好きなんだな、ととてもカジュアルに書いてしまいましたが、他にうまく言い表せない。臨床の医師として、めちゃめちゃ「具体」の中に存在しつつ、そこに「抽象」を見出し、それを自身の具体(診断)に反映させ(応用し)ていく、ということが好きなのかも知れません。
この本は、最後の方に書いてありますが「難しいな」と思って途中で読まずに飛ばすと、実は一番おいしい所が味わえない本なのではないかな、というのが個人的な感想です。
途中マリオとか出てきて「分からん」と思ったけど、ちゃんと画像も入っていて、「うーん」「うーん?」と思いながら読めば、なんとなく分かってくるくらいには、かみ砕いていただいていると思います。
世の中には、「抽象」というものが「大嫌い」な方もいらっしゃるのは存じていますが、「実は好き」という方、読んでみられてはいかがでしょうか?
グッドタイミング
それと、この本の記事を上げなきゃな~(別に義務ではないんですけどね)と思ってた矢先に、なんとYahooに「國松節」満載の記事が上がりました。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kunimatsujunwa/20210112-00217206/抽象は別に好きでも嫌いでもないけど、文体の好き嫌いが激しい、という方は國松先生っぽい文章として、この文章が結構当てはまるのでは? と思うので、ご紹介させていただきました。この記事を読んで「ニヤッ」としてしまった方は、ぜひこの本も読んでみていただきたいと思います。面白いですよ。
ということで、参考になれば幸いです。
本日もお読みいただきましてありがとうございます。
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文章も書く、ソムリエ料理研究家
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